走る浮気夫の「遊びたい」離婚請求

探偵稼業に身を置いて15年、数多の離婚原因、浮気の言い訳、そして夫婦の修羅場を目の当たりにしてきた。

その中でも、人間の欲望の浅はかさと、それに抗う依頼人の強さを、最も象徴的に表していたのが、今回の「別居中の夫の浮気調査」かもしれない。

今回の調査対象である夫、通称「浮気夫」の別居理由は、尋常なものではなかった。

クライアントである妻に対して、夫はこう言い放ったという。

今後は自由に遊びたい。だから離婚してくれ

浮気をしてから、妻に対して意味不明な文句を言ってモラハラを仕掛け、離婚を請求するような、陰湿で卑劣な浮気夫に比べれば、ある意味では「潔い」と言うこともできる。

しかし、その根底にあるのは、あまりにも自己中心的で、身勝手な欲望の追求に他ならない。

 

潔いようで最も身勝手な「遊びたい」という本音

 

1. クライアントの苦悩と探偵の分析

 

クライアントにとって、夫のこの「遊びたい」という理由で離婚を受け入れることは、到底できない話だった。

二人の間には、年端もいかない子供がいる。

今後の生活設計、子育ての責任、そして何よりも「遊び」のために家族を捨てるという行為の理不尽さ。

「今後の生活費を全て、滞りなく支払ってくれるなら、まだ話は別です。でも、彼は自分の給料を自分が遊ぶためだけに使いたい、と言っているんです」

クライアントの言葉は、怒りよりも悲しみ、そして呆れに満ちていた。夫は、家族の生活を支える義務を放棄し、自分の「自由」だけを主張している。

探偵としての私の視点からすれば、「遊びたいから離婚」という夫の言葉は、実はその裏に、ある確信的な真実を隠している。

既に浮気相手がいる

もし本当に「これから」遊びたいだけなら、何も離婚を急ぐ必要はない。

女遊びに走る男は、妻に感づかれぬよう、水面下で行動を起こすものだ。

しかし、彼は既に別居し、離婚を要求している。

これは、彼が「今の生活」を邪魔されたくない、既にいる浮気相手との関係を公然のものにしたい、という強い願望の表れに他ならない。

クライアトも同じ確信を持っていた。だからこそ、その事実を法的に証明するため、今回の浮気調査が依頼されたのだ。

 

2. 別居中の調査が持つ特有の「壁」

別居中の浮気調査は、同居中の調査に比べて、極めて難易度が高い。

その理由は、行動パターンの予測が困難である点に集約される。

  • 調査日の特定が難しい: 同居中なら、「残業」「出張」などの不審な行動から、浮気日の予測がある程度可能だ。しかし、別居中の夫は、いつ、どこで、誰と会おうが、クライアントに報告する義務はない。彼の自由な行動の中から、ピンポイントで浮気の日を特定するのは、砂漠で一粒の砂金を探すようなものだ。
  • 長時間張り込みの必要性: 今回は、クライアントの判断で、比較的動きがあると予測される土日の2日間に絞って調査を敢行することになった。しかし、いつ、何時に彼が出かけるか分からない以上、張り込みは朝から晩までの長時間に及ぶ。特に別居先がオートロックのマンションであれば、探偵は外部でひたすら待ち続けるしかない。

我々は、浮気夫が暮らす別居先のマンションに、私を含む二人一組のチームで張り込みを開始した。

初日は朝9:00から19:00まで、カメラと無線機を携え、周囲に溶け込みながらひたすら待機したが、浮気夫に動きは一切無し

 

予期せぬ奇跡:調査終了直後の疾走劇

1. 調査終了の判断と、張り詰めた空気

 

二日目も、調査は難航を極めた。朝から18:00まで、気温も上がり、長時間座り続ける張り込みは、体力的にも精神的にも限界に近い。しかし、浮気夫の姿は一向に見えない。

この時、クライアントから連絡が入った。

「実は、夫と連絡を取る用事があったので、ついでに探りを入れてみました」

クライアントは冷静だった。要件を伝えつつ、軽く世間話をする。

夫の雰囲気は、全く出かける準備をしてそうにない

電話も、早く切ろうとする素振りもなく、比較的長話をしたという。

この状況から、クライアントは「今日はもう動きはない」と判断。私に「調査終了で」と伝えてきた。

探偵の仕事は、依頼人の指示に従うのが原則だ。私も疲労がピークに達していたこともあり、機材を片付け、無線機をオフにしようとした。

まさにその時だった。

浮気夫が暮らす別居先マンションのオートロックが開き、一人の男が走って飛び出してきた。

 

2. 突然の追跡開始と探偵の「勘」

 

「動いた!」

反射的に、私は機材を投げ出し、相棒に合図を送る暇もなく、その男、浮気夫の後を追って走り出した

状況は最悪だ。

あまりに突然の出来事に、カメラはカバンの中。急いで走ったため、マンションから飛び出した瞬間の撮影は間に合わなかった。

浮気夫は、まるで何かに遅れているかのように、一心不乱に走っている。

走る夫は、別居先マンションから駅まで、約10分の道のりを全速力で駆け抜けた。

私と相棒は、一般人に紛れながらも、決して距離を離されぬよう、息を切らしながら後を追う。

駅のホームに着き、浮気夫が息を整え、電光掲示板を見上げたとき、やっと私も少し落ち着きを取り戻せた。

電車の到着まで3分ほどある。この瞬間を逃してはならない。

すぐにクライアントに連絡を入れ、状況を説明した。

「今、ご主人が急に飛び出してきて、走って〇〇駅のホームにいます。調査を続行します」

クライアントも驚きつつ、即座に「続行でお願いします」と返答した。探偵の勘が、この急な動きに「獲物」の気配を感じ取っていた。

 

3. 異常な行動パターンの裏側

電車に乗り込み、数駅先の某駅で浮気夫は降車した。

しかし、彼の異常な行動はここで終わらなかった。駅のホームから階段を駆け上がり、改札を抜けても、彼はまた走り出したのだ

探偵としての経験上、このような「ランニング追跡」は稀だ。後ろを振り返っている様子はなく、私たちが尾行していることには気づいていない可能性が高い。では、なぜこんなにも急いでいるのか?

待ち合わせに大遅刻している

それが、私の頭に浮かんだ唯一の答えだった。

彼は、クライアントとの電話で油断し、うっかり出かける支度を始めるのが遅れたのだろう。浮気相手をこれ以上待たせたくない、という焦りが、彼を走らせていたのだ。

浮気夫は、駅から徒歩5分ほどの場所にある、少し洒落た飲食店に入っていった。

私は少し間を開け、彼が店内に入ったことを確認してから、その飲食店に入った。

そして、確認した。

浮気夫は、既に席に着いていた一人の女性と合流していた。

女性は、明らかに彼よりも早く来ていたようだ。彼女の焦燥感と、浮気夫の必死のランニング。全てが繋がった。

 

決定的な証拠の確保:お決まりのコース

1. 密会からホテルへ

 

彼らは、その飲食店で約2時間を過ごした。食事と、恐らくは遅刻の言い訳。そして、今後の行動の打ち合わせ。私たちは、外から二人の様子をしっかりと記録した。

2時間後、二人は飲食店から出てきた。

さすがにもう走ってはいない(もし二人で走られたら、私は笑うしかなかっただろう)。

ここからは、探偵にとって「お決まりのコース」だ。

二人は、少し歩いてタクシーを拾った。行き先は、駅から少し離れた場所にあるラブホテル街

私たちは、別のタクシーで追跡を続行し、二人がラブホテルに入っていく瞬間を、決定的な証拠として高画質で押さえることに成功した。彼らは、そこで約3時間滞在した。これは、不貞行為があったことを示す、十分な証拠となる。

 

2. 調査の完了と真実の確定

 

ラブホテルから出てきた二人は、駅に向かうことなく、再びタクシーを拾った。ここで重要なのは、浮気相手の女性の自宅を特定することだ。

タクシーは、都内郊外の閑静な住宅街にあるマンションに到着。

浮気夫が女性を見送った後、私たちは女性がそのマンションに入っていく様子を確実に記録し、女性の自宅を特定した。

この時点で、今回の浮気調査は完了した。

  • 浮気夫が別居中に女性と密会した事実。
  • 飲食店での密会、そしてラブホテルへの移動と滞在による不貞行為の確定。
  • 浮気相手の氏名と住所を特定するための、自宅マンションの判明。

 

3. 夫の「遊びたい」の真意

 

クライアントに一連の調査結果を報告した。夫の「遊びたいから離婚したい」という身勝手な主張の裏には、やはり既に進行していた不貞行為があったことが証明されたのだ。

今回の調査で得られた証拠は、クライアントが夫の離婚請求を拒否し、さらには慰謝料を請求する上で、揺るぎない武器となる。

浮気夫は、クライアントへの電話で「遊ぶ準備をしていない」と偽り、油断させていた。

しかし、その裏で、彼は既に浮気相手と綿密に計画を立てていた。そして、待ち合わせに遅れそうになり、あのような疾走劇を演じたのだ。

彼の「遊びたい」という言葉は、家族に対する責任の放棄と、自己中心的な欲望の解放を意味していた。

そして、その欲望は、土壇場での焦燥と、走るという滑稽な行動となって、探偵の網に捕らえられた。

探偵の仕事は、真実を暴き、依頼人に正当な権利を取り戻すための武器を提供することだ。

今回の調査は、まさにその使命を全うしたと言えるだろう。どんなに巧妙に隠された浮気も、人間の行動、特に「焦り」という感情は、嘘をつかない。

 

 

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