少し前の調査で、喫煙所で張り込みをしていたときのこと。
もちろん、張り込みなので、俺の眼差しは、ある一点を見ている。
そこに、後ろから「スイマセン」と声がかかる。
ぱっと、振り返ると、おそらく、フィリピン人の女性。
「署名と募金お願いします」
却下・・・
笑顔で断る。
さらに、数10分後、「スイマセン」
今度は、なんだ。
インド人の女性。（たぶん・・・）
募金・・・
却下・・・
引きつった笑顔で断る。
さらに、数10分後、「スイマセン」
・・・
・・・
・・・
さっきのインド人(笑)
相手も気づいたらしく、小さな声で「ごめんなさい」と言われ、思わず募金。
「やったぁ」と笑顔を向けてくれた。
さっさと、署名し募金をして、目線を戻す。
張り込みをしながら、先輩の話を思い出す。
数年前、歌舞伎町とかでも、このような募金やっていて、以前も募金をしようとしたら、そんなのしたらダメだと、注意をされた。
「あんなのヤ○ザがやらせているから」
と言われた。
あの、インド人(たぶん）の笑顔を信じよう。
こんなことを考えていたら、また、後ろから「すいません」か細い声。
今度は、なんだと思ったら、若いメガネっ娘。
「ライター貸してくれませんか？」
断る理由もないので、タバコに火をつけてあげ、目線をまた元に戻す。
俺のいる場所は喫煙所から、数メートル離れている。
・・・
・・・
・・・
もしかしてだけど～♪♪♪ もしかしてだけど～♪♪♪
あのメガネっ娘、俺に気があるんじゃないの～♪♪♪
(どぶろっくが、頭の中をリフレイン(笑)）
これは、恋の予感か！？
張り込みなんかしている場合ではない。
オレは、いくぜε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ
って、いくわけがない。
オレは、探偵。
クライアントを裏切るわけにはいかない。
目の前の調査が命より大事だ。
そうこうしているうちに、対象者が動き出す。
カメラを構え、対象者の動向を観察する。
そこで、また、「スイマセン」最初のフィリピン人(笑)
対象者は動き出している。
悪いが無視させてもらった。
対象者を追いながら、喫煙所に目を向けたが、すでに、メガネっ娘は居なかった・・・
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