抵当権者の物上代位権行使と目的債権の債権譲渡の優劣編

ある日、マイケルは、デビットにこんな話を持ちかけられた。

 

「なあ、マイケル、俺が賃貸している、賃料債権を買わないか?」

 

「えっ!?」

 

 

「月24万で貸してるんだが、3年分、700万でどうだ?」

 

マイケル(3年で160ちょいの利益か・・・)

 

「グッド!!買おう。」

 

半年後、いきなり賃料が振り込まれなくなる。

 

どうしたかと思い、賃借人のチェンに連絡すると、

 

「これからは、マリリンに渡してくれって、通知が来たんだ」

 

「えっ?!どういうことだ?」

 

デビットに連絡するが、取れない。

 

慌てて、マリリンに連絡を取ると、

 

「マリリン、どういことだ?」

 

「デビットの建物には、抵当権が入っていて、デビットが弁済期を過ぎても、返済しないから、権利を行使したまでよ」

 

「そんな、オレは善意の第三者じゃないのか?オレの契約はどうなるんだ?」

 

「アンタバカね、契約のとき、登記を確認しなかったの?」

 

「えっ?」

 

「一応伝えとくけど、裁判しても負けるわよ。

 

判例ではこう出てるのよ。

 

「払渡または引渡」には債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が具備された後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。

(判決理由「抵当権の効力が物上代位の目的債権について及ぶことは抵当権設定登記に

より公示されているとみることができ、対抗要件を備えた債権譲渡が物上代位に優先する

ものと解するならば、抵当権設定者は、抵当権者からの差押えの前に債権譲渡をすること

によって容易に物上代位権の行使を免れることができるが、このことは抵当権者の利益を

不当に害するものというべきである。」)

 

要するに、抵当権設定登記によって、公示されてるわけだから、リスクを承知でデビットから債権譲渡を受けてるとみなされるのよ。あんたは、デビットを見つけて、損害賠償でも起こしなさい。ホント、バカね。」

ガチャッ

プープープー

 

オーマイガッ、なんてこったい・・・

耳の奥底に、いつまでも受話器の機械音が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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