浮気妻と週末の町田ラブローテーション（続編）

浮気調査、三度目の週末。対象者の浮気妻は、まったくブレないルーティンでまた動き出した。

朝9時、大和駅近くで張り込み開始。やがて、自宅マンションから対象者が出てきた。派手な格好ではないが、バッグの隙間からチラ見えする赤いレース。今日も“気晴らし”の日ってわけだ。

そのまま大和駅に向かって歩き、電車に乗車。行き先は前回と同じく町田。町田駅で降りると、やっぱり男が改札の外で待っている。まるで待ち合わせしてたかのようなタイミングで合流。

駅近くのカフェで昼食。前回とは違う店だったが、内容は似たようなもの。パスタにデザート系、軽めのランチって感じ。

そして今回も、昼食後はあのラブホ街へ直行。しかも前回と同じホテルに入った。ここまで来ると、完全に“お決まりのデートコース”。一見ラブラブなカップルの週末だけど、中身は不倫劇。

14時前にホテルに入って、出てきたのは17時すぎ。今回もほぼ3時間コース。前回と違うのは、浮気相手の男の態度。一切の警戒なし。駅に向かって歩く姿にも焦りゼロ。

男は町田駅から電車に乗り、新百合ヶ丘駅で一度下車。これも前回と同じ。端のホームまで小走りで移動し、快速急行に乗り換え。この小走り移動、警戒してるっていうよりは単純に急いでるだけって感じ。

そこからさらに数駅先で降り、自宅方面へ。そして、駅近くのコンビニに立ち寄った。この隙を突いて、もうひとりの探偵が先回りしてマンション前で待機。

マンションの構造は事前に把握済み。エントランスはオートロック式で、郵便受けはガラス越しに見える。この日はタイミング良く、アジア系の男性がエントランス前で電話中だった。その横で探偵が張り込む。

やがて男がマンション前に到着。郵便受けに向かうかと思いきや、アジア系男性と探偵を一瞬チラ見。そして、そのまま郵便受けに触れることなくオートロックを通過。これは明らかに警戒してる。目ざとい男だ。

この日はそれ以上の情報が取れず、調査はここで終了。

すでに浮気の証拠はバッチリ揃っているが、念のため男の部屋番号も押さえておきたい。別日に再調査を決行。

平日の夜。浮気妻の会社の同僚ってことで、大体の勤務時間も予測がつく。予定通りの時間に男が駅からマンション方面へ向かってくるのを確認。

このマンション、多国籍な住民が多く、エントランス前にはいつも誰かしらいる。この日はベンチに腰掛ける東南アジア系の男性と、スマホをいじってる黒人男性。自然に混ざれば、探偵ひとりが立ってても浮かない。

作戦はこうだ。男が郵便受けに向かった瞬間に、こちらも中へ入って場所を確認する。

そして──男がエントランスに入り、郵便受けに向かう。タイミングを見計らって探偵も中に入る。すると、男がちょうど戻ってきた。目が合う。ほんの1秒。

男は郵便受けに触れた形跡なし。またも警戒行動か。この日も成果はゼロ。

別日にも同様の調査を行ったが、やはり郵便受けには触れずに中へ消えていった。中々部屋番号が割り出せない。

だが、ついに異変が起きる。

ある夜、またしても男の帰宅を追う。今回はエントランス前に人がいなかった。だが、男のすぐ後ろを別の住人らしき男性が歩いていた。男はオートロックの前で一瞬立ち止まり、エントランスに入る素振りを見せた。が、直後にくるっと向きを変え、エントランスの外へ引き返した。

そのままガラス越しに、後ろの男がエレベーターに乗り込むのを確認。ようやく安心したのか、男は再度中へ入り、奥へと消えていった。

これは明らかに“尾行を警戒してる人間”の動き。プロの探偵でなくても違和感を覚えるレベル。

マンションまでバレてて、ここでようやく警戒を見せるのか……。

正直、このままでは部屋番号の特定は難しい。作戦変更を余儀なくされた。

細かいやり方はここでは書けない。悪用されたら困るし、探偵業界でも表には出せない部分がある。（ストーカーの手引きになる可能性があるからだ）

ただ、こっちは15年以上この仕事をやってる。対策も引き出しも、それなりに持ってる。しかも今回は名前が判明してる。

あとは地道な裏取り。数日後、ついに部屋番号を判明させた。

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