探偵って、動いてる時より止まってる時間のほうが長い。
特に、車内張り込み。これはガチでキツい。冬は底冷えするし、夏は地獄のように蒸し暑い。エアコンなんかつけてたらエンジン音でバレる。窓なんか開けようもんなら中が見える。張り込みの基本は「そこにいないように存在すること」。だが、存在してない風にしながらずっといるってのは、体も精神も確実にすり減らしてくる。
ある張り込みの日
現場は神奈川県内の某市、やたらと高層マンションが建ち並ぶエリア。ターゲットはそこに住む男性。
依頼はその男が「休日に何をしているのか」の確認。つまり浮気の可能性を含んだ調査。
張り込み開始は午前9時。
とにかく、休日の朝から夜にかけて「誰と、どこで、何をしているのか」を押さえる必要がある。だから最低でも張り込み時間は5時間を超える。
車内は牢獄
まず、車内ってのは一見ラクそうに見える。立ち張りよりマシじゃん、と。
でも、5時間を越えてくると、これはもう拷問。動けない。立てない。姿勢は一定。トイレにも行けないから水分を控える。すると今度は頭痛。集中力はどんどん落ちていく。
俺が使ってる車はスモーク濃いめのミニバン。後部座席に布団を敷いてる。長期戦用だ。だが、いくら布団敷こうが腰は痛くなる。体は限界に近づいていく。
加えて「不審者通報のリスク」がある。
近所のやつが「あの車、ずっと停まってて中に誰かいる」なんて通報されたらすべて終わる。警察が来たら、言い訳しようがない。だから常に気配を消す。カーテンも張るが、外から見て「生活感」が出ると終わるので、物は極力置かない。
昼間の過ごし方
俺は張り込み中、スマホでYouTubeを流してる。もちろん見たい動画じゃない。カメラを表に向けた状態で、車の窓の先を画面越しに監視。暗くてもスマホのカメラは感度が高いから、目視より映像の方が動きに気付きやすい時もある。
音は出さない。代わりにイヤホンでラジオか、雑談系のポッドキャストを流す。これがあるだけでだいぶ違う。無音のまま張ってると、マジで気が狂いそうになる。
でも夜になるとスマホの光が目立つから、画面は伏せて音だけ。
夜になると変わる世界
午後5時を過ぎると、周囲の住宅から灯りが漏れ始める。
だが、ターゲットは動かない。
午後6時、まだ。
午後7時、まだ。
7時半、帰宅ラッシュも終わりかけた頃、周囲のコンビニにちょっとした動き。飲み物と弁当を買って戻ってくる住人たち。ひとり、またひとりとエントランスへ入っていく。だがターゲットは現れない。
その後も、出てこない。
これで終わり。報告書には「動きなし」と書くだけ。
だがこの「動きなし」の裏に、10時間の張り込みがある。
動かない時の苦しみ
何がつらいって、「結果が出ない時間」が一番つらい。
動いてくれりゃ、それを追って、証拠撮って、報告書にまとめる。そういう“成果”がある。
でも、ずっと動かないまま時間だけが過ぎていくと、「俺はいったい何してんだ?」って気分になる。
依頼人だって同じ。調査報告に「動きなし」が続けば焦るし、ガッカリもする。
でも、こっちだって手は抜いてない。ただ「今日は動かなかった」だけだ。
エコノミー症候群、リアルにある
長時間同じ体勢で座りっぱなし。足の裏が痺れてくる。
トイレを我慢する。水分を取らない。
これ、リアルにエコノミー症候群のリスクある。
俺は一度、軽く立ちくらみを起こしてヤバかったことがある。それ以来、張り込みの合間に足を伸ばしたり、ふくらはぎをマッサージしたり、なるべく動かすようにしてる。
でも、外に出てストレッチなんかしたらそれこそバレる。だから全部、車内でこっそりやる。
不審者扱いされない工夫
あえて「生活感」を出すのがコツ。
車の中にスーパーのレジ袋。小さい毛布。雑誌。中がチラッと見えた時に「ただの休憩中の人かな」と思わせる仕掛け。
逆に、何もない車内ってのは警戒される。「なんであの車、ずっといるのに何にもないんだ?」ってなる。
あと、張り込み中にエンジンをかけるタイミングにも気を使う。周囲がうるさいタイミング(救急車とか電車が通った時)を狙う。
こういう細かいことが、結局は調査の成功に繋がる。
それでも動くまで張る
この仕事、根性がないとやってられない。
それでも俺たちは張る。動きがあるまで、証拠が取れるまで、ひたすら待ち続ける。
帰り道、コンビニの明かりがやけに眩しく感じる。
「今日は何もなかったな」って独りごちて、エンジンをかける。
次こそ動いてくれ。次こそ、決定的な一枚を。
そう思いながら、また次の現場に向かう。
この世界は結果がすべてだ。
だから、こっちは動かない相手にも負けない。
ただ、じっと待つ。
時には10時間を超えても。
じっと、じっと。
次に誰かが動く、その瞬間まで――
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